労働基準監督官
国民が安心で安全に働く事が出来るような職場の労働環境を整えるため、労働基準法には様々な規定があります。労働基準監督官は、これらの法令に基づき、不当な労働環境で働く人をなくすため、事業所に立ち入り調査等を行って労働条件の改善を図ります。今回は、働く人の味方、労働基準監督官について説明致します。
労働基準監督官について
労働者が安心して働ける安全な職場環境は労働基準法等の法律で保護されています。しかし現実はなかなか法律通りにはいかず、劣悪な環境や最低賃金以下の給与で働かされている事業所もあります。
そのような労働者の置かれた環境を調査し、必要があれば管轄内の事業所に立ち入って労務関係の書類や作業環境の点検、調査(検査)を行い、労働に関する様々な問題を解決に導くのが労働基準監督官の役割です。
もし違反があれば指導を行い、悪質な法律違反については犯罪捜査を行って書類送検も行います。
近年では国際化が進み、外国人労働者とのトラブル等の新たな問題が起きています。こうした問題の解決も労働基準監督官に求められている職務のひとつです。
労働基準監督官の仕事内容
労働基準監督官は厚生労働省が管轄する国家公務員です。厚生労働省や各都道府県労働局、第一線機関として設置されている労働基準監督署で働いています。
●厚生労働省労働基準局の仕事
安心して働ける職場作りを行い、人々が安心して豊かな生活を送るために様々な法令の制定や改廃等の見直し、施策の企画、労働局や労働基準監督署への指揮、監督を行っています。
●都道府県労働局の仕事
各都道府県の実情を踏まえて労働基準行政を運営します。また、管内に置かれている労働監督署を指揮、監督します。
●労働基準監督署での仕事
全国各地に置かれている第一線機関になります。国民を対象とした活動の多くがここで行われています。
●臨検監督
労働関係の法令に基づき、定期的に事業所に立ち入り調査(検査)を行います。またこの調査(検査)は労働者から相談があった場合も実施します。もし法令への違反が発覚すると行政指導を行います。危険度の高い機械や設備があった場合は、その使用停止を命じる事も出来ます。
●災害調査
工事現場や工場等で死亡災害等の重度の労働災害が発生すると、災害発生現場に赴いてそれらが発生した状況や原因を調べます。再発を防止するために指導を行います。
●司法処分
重大もしくは悪質な法令違反を行っている事業主に対し、刑事訴訟法に基づく特別同法警察員として捜査を行う権限があります。その結果、検察庁に送検する事もあります。
●安全衛生業務
労働災害発生状況の把握や分析を行う事で労働災害を抑止します。また労働災害を発生させた事業所に指導を行うことで、同じような災害を防止します。さらに機械の設置等を行うための計画書の診査やクレーン等の機械の検査を労働安全衛生法に基づいて実施します。
●労働災害補償業務
通勤途中や仕事が原因で労働者が怪我を負ったり、病気になったり、亡くなったりした場合には保険給付を行う必要があります。請求された案件ごとに、関係資料を収集して調査を行い、被災した労働者本人や事業所の関係者に聞き取りを行ったり、場合によっては主治医や専門家に意見を求めたりして「労働者災害補償保険法」に基づいた審査を行います。
労働基準監督官として求める人材
それぞれ異なった業務をしている企業を監督、指導するため、様々な業務に対する幅広い知識が必要になります。また当然のことですが、法律に対する深い知識は欠かせません。さらに不当に働かされる労働者を保護し、労働災害の起こりにくい環境作りのために公正な判断力や行動力、責任感や正義感、仕事に対する熱意も必須です。
事業所や工場に立ち入り検査を行い、指導をするために外出がいため、想像以上に体力を使うことになるでしょう。
労働基準監督官の労働条件
勤務時間は原則1日8時間、週休2日制です。残業の多い時期があり、全国規模の転勤があります。厚生労働省によれば初任給は173,900円とされています。職歴等がある場合は、それに応じた金額が加算されて支給されます。
労働基準監督官になるには
労働基準監督官採用試験への合格が必要です。その際は国家公務員試験の法文系の「労働基準監督A」または、理工系の「労働基準監督B」の2種類のいずれかを選んで受験します。どちらでも専門知識が問われる試験となるために大学の法学部や工学系学部で専門知識を身に着けた人が多く受験しますが、学歴は問われません。
試験の内容は一次試験が基礎能力試験と専門試験。二次試験では面接が行われます。2012年までは身体検査も行われていましたが、2013年より廃止となりました。そのため、これまで視力や聴力等の理由で不合格になっていた人も今後は採用となる可能性があります。
試験に合格した人は労働大学校で約3ヶ月の基礎研修を受ける事になります。研修終了後、労働基準監督官として勤務が始まります。
労働基準監督官は全国各地への転勤が多く、赴任先がどこになるかはわかりません。そのため、どこに赴任しても喜んで付いて来てくれる、前向きで好奇心旺盛な女性がおすすめです。ぜひ交際中から、休日には二人で色々な場所に遊びに出かけてみて下さい。
夫の転勤先であり、結婚しなければ住むことのなかった土地で暮らす事をぜひ前向きに楽しんで下さい。インターネットが普及した現在は色々な土地で友達が出来れば、その後もSNSやスカイプ等でずっと繋がっていることが可能です。