法務教官
法務教官は、非行に走った子供たちを指導し更生を促すのが仕事です。
昨今、子供たちの犯罪は低年齢化し、その内容は多様化しています。また、彼等を取り巻く問題もそれぞれ違うため、更生の方法も一人一人異なります。今回は、子供たちと真摯に向き合う法務教官について説明致します。
法務教官について
法務省専門職員の採用試験を受けて合格する必要がある、専門的な国家公務員です。
少年院や少年鑑別所で働き、罪を犯してしまった子供たちが立ち直れるよう、専門的知識と幅広い視野をもって教育、相談、助言等を行う専門の職員です。その指導の目的は子供たちを健全な社会人の一員として社会復帰した際に安定して自立した生活を送れるようにすること。
刑務所や少年刑務所、拘置所等の刑事施設で働くこともあって受刑者の改善指導にあたり、性犯罪や薬物依存等の指導のほか、就労支援指導や教科指導も担当します。
法務教官の仕事内容
●少年院勤務
少年院は家庭裁判所から送られてきた「保護処分」の子供たちを収容するための施設で、子供たちの収容期間は原則2年以内です。
その期間に集団活動や面接等で基礎学力をつけるための教科指導や生活指導、レクリエーション等の活動を行い、社会復帰を目標とした職業訓練等、更生のための専門教育を行います。また健康的のための規律正しい生活指導や体育の指導も行います。
少年院では起床・消灯時間が決まっていて、規則正しく生活出来るようになっています。
法務教官は寮内や寮の周辺に不審物がないか、不審者はいないか、危険物が持ち込まれていないか、子供たちでイジメ等のトラブルが発生していないかなどの点について24時間体制で警備監督を行う義務があります。
また消灯時間までは子供達に日誌を書かせたり、指導を行ったりしながら、法務教官自らも観察記録作成などの業務を行います。消灯後も仮眠をとりつつ定期的に巡回を行います。そうして、朝が来ると、日勤の職員に引き継ぎを行います。
●少年鑑別所
少年鑑別所は、主に家庭裁判所から「観護措置」の決定等を受けて送致されてきた、審判を予定された子供たちを収容するための施設で、彼らの身柄を保護し、その精神の安定を図ります。
ここでの法務教官は、面接を行って子供たちの行動を観察し、彼らが抱えている問題とその改善方法を科学的に探り、少年院や保護観察所等で指導する際に活用出来る資料を作成して提出します。
基本的な業務の流れは少年院とほぼ同じですが、少年院が更生に向けた指導を行う施設なのに対し、鑑別所は審判のための子供たちの見極めを目的とした施設です。
そのため、子供たちに課題を与え、それを行う様子を観察するとともに、子供たちの健全な育成のため、本人の希望を確認して学習支援も行っていきます。
法務教官として求められる人材
非行を犯して収容されてくる子供たちが抱えている悩みや問題は様々です。
苦しんでいる子供たちに真摯に向き合える人材が求められています。
子供たちと共に行動し、悩み、成長していく向上心が彼等の心を開き立ち直らせる原動力。思うようにいかずに無力感や挫折感を味わうこともありますが、明るさとバイタリティーで乗り越える事が大切になります。
法務教官の労働条件
週休2日制で1週間の勤務時間は38時間45分になります。
昼間勤務と昼夜間勤務があり、交代制で仕事を行います。交代で当直にも当たります。法務省によると、東京都特別区内で勤務する場合の初任給は230,926円とされていて、この他各種手当が付与されます。(2013年)
勤務地は、本人の希望を考慮して決まり、原則、採用施設の矯正管区の管轄地域内で異動があります。日常生活は官舎で行うことも可能です。
法務教官になるには
法務省専門職員(人間科学)採用試験を受験し、合格をしなければなりません。
試験は一般教養試験の他、記述形式の専門試験や面接、身体検査や身体測定もあります。
試験は男性法務教官と女性法務教官で別れますが、受験資格や試験科目については同じです。採用後1年目は全国8か所にある矯正研修施設で約3か月間の基礎科研修を受け、法務教官として必要になる少年法や少年院法、矯正社会学や矯正心理学等、基礎的な処遇技法を学び、矯正護身術、集団行動指導法等の術科も学びます。
その後の昇進は能力主義ですが、専門性向上のため、5年目には応用科研修を矯正研修所支所で受け、専門官に昇進するケースが多いようです。
その後、統括専門官、首席専門官、施設長と昇進していく道もあります。幹部職員になるための高等科研修や専門研修もあります。海外国内の留学制度等、その教育制度は幅広いものとなっています。
家庭から愛情を注がれずに成長した子供たちは人を信用出来ないまま成長することが多く、非行を繰り返す例も多く見られます。そのような子供たちと向き合う法務教官の仕事は決して楽なものではありません。
そんな立場を理解し、温かくサポートしてくれる愛情豊かな女性との結婚をおすすめします。
法務教官の仕事は、一般に思われているよりもかなり大変です。
時には、家庭よりも仕事を優先せざるを得ないケースもあるかもしれません。そんな時に、家庭を支え、ご主人をケア出来るしっかりとした女性が法務教官との結婚には向いています。